【2011年11月30日】 タイトル: 研修医日記 Vol.177

今年最後の日記となります岩本です。
現在外科研修中ですが、先週は精神医学会総会で福岡に行かせていただきました。
外科の先生方には無理を聞いていただき感謝の言葉もございません。
福岡国際会議場 立派な建物でした。その隣にはサンパレス福岡、氷川清のコンサートでした。
その隣は国際会館、大相撲11月場所開催中でした。イベント盛り沢山、さすがアジアの拠点福岡です。
さて、精神医学会総会ですが、色々勉強になりました。
リエゾン(他科との連携)精神看護専門看護師の存在を初めて知りました。
その方の話によると、せん妄でない人をせん妄でないと診断出来るのは90%。
しかし、せん妄である人をせん妄だと診断できるのは20%。
そもそも、せん妄の診断が医師間でバラバラ、せん妄の第一選択もバラバラ。
ドグマチール1A imでなんてことも...せめてセレネースorリスパダールを指示して欲しいとなぜこんなことが起きているのか(?_?) 学生時代は教育を受けるが、医師or看護師になってからはほとんどその機会がないからだと。現在、その方の勤め先ではせん妄のワークショップを開催中らしい。
でも、参加する医師は3名程度らしい...悲しすぎる現実( ;∀;) カナシイナー

ここからは臓器移植メンタルのはなし。
腎移植ドナーの1割にうつが発生する。と言うより発生していたのか?
以外にもその原因は後悔ではなく、身内からのBlack Sheep(厄介もの)扱いという報告があるらしい。
30歳以降のneetなどの社会的負い目がある人がドナーの20%を占める。
アルコール性肝障害での肝移植レシピエントのはなし。術後、断酒が必要か?飲んでもいいよというとメッチャ飲んでしまうので飲まない方がいいよという説明は必要だろう。しかし、10年生存率で見ると断酒者80%、再飲酒者70% 大差なし、飲んでもいいのか?もちろん、どの程度飲んでたかは本人談。
心移植はもっと深刻。レシピエントの平均年齢は30代後半、50代以下で80%を占める。
レシピエントの70%は男性。社会的役割を果たすべき時に果たせない、収入低下、自殺。
米国とドイツにはその患者専属の専任移植コーディネーターがいる。その他の国は担当コーディネーターのみ(おそらく他患者と併用ってことか?)
外科だけでなく、その他多くの科との連携が今後ますます増える精神科、もう精神科だけの問題ではないのでしょー。
Schizophreniaにも妊娠する権利はあるのです。そう考え、実践する時代なんですね、大変だ~。

研修医1年目 岩本 智秀