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泌尿器科

泌尿器科研修の日々

平成24年2月


 我われむつ総合病院泌尿器科は3人体制(筆者H5卒、H20卒、H22卒)で下北の泌尿器科医療を担っております。現在は、研修医が2名(2年次の田中医師、1年次の小山石医師)が参加して合計5人で楽しく活動しています。今回はその内容の一部を紹介いたします。

泌尿器科の1週間

① 朝の写真見せ
毎朝、外来で病棟患者の申し送りと写真(CT)みせを行います。オペレーターは主に若手医師(今回は岩村医師)や研修医に任せます。難しい症例や興味深い症例は、ストックして後日泌尿器科+放射線科合同カンファにかけます。白黒反転画像や脳条件で腹部の出血を探るなど、大畑部長(放射線科)の講義されたテクニックをコンピュータ上で駆使して診断しています。
2日目からは小山石君がオペレーターです。若い人たちはコンピューターに慣れるのが早いですね。

②病棟回診
仕事前にそれぞれが病棟での情報収集をし、カンファで方針を決定し実際に行動します。ルーチンワークをできる限り研修医に任せます(上級医は見守り)。岩村先生も昨年までは県病で研修医として教えてもらう立場でした。1年の差で立場が急展開です(半年の大学での研鑽と当院での経験を駆使して教える側に徹してます)。教えることで学ぶことを理解し実践しているようですね。

③透析回診
結果はベッドサイド(希望者は別室でface to face)で説明します。 田中君も小山石君も親身になって説明しています。

④外来患者診察
回診終了後は外来で時間外の外来患者を診察します(当科は完全予約外来ですが、臨時の患者さんも大勢来院します)。

⑤検査・手技
検査・手技・手術も数に限りがあります。若手泌尿器科医も本来は経験を積みたい盛り。研修医も後ろで立って見学なんて、ナンセンス。参加型の研修を掲げてはいますが、満足の域にはなかなか達することができません。我われ指導医は、毎日毎日、一刻一刻考えながら彼らを指導していきます。そこには完璧なマニュアルはありません。みんなが考えてよりよい医療・教育を提供できるように努力してます。
研修医2人を抱えることは、泌尿器科にとって難題です。経験事項が分散するからです。
先日得居先生からメールで提案されました。
「小山石君と田中君が回ってて、小山石君をどう入れていこうか考えてたのですが… この1か月だけ,透視の検査・シャント造設・TULは得居・小山石チームと岩村・田中チームに分けませんか??チームに分けて、順番に出番というわけです。可能なかぎりですよ。チームにこだわって効率が悪くなるのは、困ってしまいます。もちろん、皆でやらなきゃいけない時は皆でやって、岩村チームのサポートはします。せっかく、手技をやらせるウロに来てる訳ですし、小山石君も期待してたと思うのですよ。今は、田中君と岩村の手技を後ろで見学してることが多いのですよ。田中君が少しかわいそうな気もしますが、小山石君がアドバイスを受けている内容だって勉強になると思うのです。 岩村に関しては、上の手技をみて学習することも必要な時期なのかなぁ。と正直、思います。」

 後輩が遠慮する傾向があるため、我われに研修医一人ずつをマンツーマン形式でつかせてくださいとのこと。彼女だってまだまだ指導を受けたい若手医師なのに、この成長はすごいぞ!!No.2として日々成長する姿を垣間見た瞬間でした。みんながんばれ!
CV挿入は循環器科をはじめさまざまな科ですでに習得しており、泌尿器科では実践の場となっています。田中君も2年次のこの時期ともなれば、内頚静脈へのアクセスはそつなくこなします。田中君は最終研修が泌尿器科のラガーマンです。先日入籍を済ませ、来年度からの後期研修に燃えています。おかげさまで来年度は夫婦ともに泌尿器科医師となります。患者さんの対応においては彼の優しさがにじみ出ます。最初の内科研修で、人生の師となる鈴木先生(現在沖縄勤務)の態度を学ばれた様子がよくわかります。接遇は満点ですね。

助手の小山石君も真剣なまなざしで先輩を手助けします。後ろの岩村医師も安心して見守っていますね。
膀胱鏡や超音波などの検査を研修医にできる限りやらせます。3人体制になったので余裕を持ってマンツーマンで指導できます。

⑥前立腺生検
出血等の合併症を起こさないように、慎重に検査しています。人に針をさす行為は、抵抗があると思いますが、みんなしっかりやっています。検査後の夕方回診では、担当した研修医がねぎらいの言葉と、状況把握に自然と力が入ります。

⑦手術
前立腺全摘。
皮膚切開から後腹膜腔展開まで、小山石君がんばりました。最後の閉創もしっかりやりましたね。
シャント手術。
小手術ではありますが、外科手技として基本的事項満載の教育手術です。田中君も小山石君も奮闘しております。
TUL(経尿道的尿管砕石術)。
尿管鏡の手前まで、田中君難なくこなしました。一方の小山石君もその2日後卒なくできました。
包茎手術(環状切除術)
むつ病院は尿路悪性腫瘍・尿路結石・排尿障害などの手術を手がけています。いわゆる小手術も少なくありません。男性器に携わる経験も、新鮮でいいものです。
泌尿器科は研修病院の義務から外れています。しかし科の性格上①診断から治療まで②全身管理③外科手技④さまざまな検査⑤透析患者など慢性疾患への対応など、研修教育に必要な場面が満載の科のひとつといえるでしょう。そこに上級医の情熱が加われば、容易に研修の場が提供できるわけです。平成18年から彼らを受け入れ続けていますが、毎回刺激的な出会いと活動をしています。今後も研修医教育活動を続けていきますのでよろしくお願いします。