Language:日本語 / English
2016年 vol.16 Issue 1
巻頭言
病院医誌の再発刊にあたって 橋爪 正
 
総 説
オスラー博士に学ぶ臨床研修
 -医学は科学に基礎をおくアートであるー
坂井 哲博
【要旨】
平成16年の新医師臨床研修制度発足と同時にスタートしたむつ総合病院卒後臨床研修の13年を統計的に総括した。示唆に胃むオスラー博士の言葉を強く意識して臨床研修の場での実践を試行錯誤し続けた。その取り組みの一端も紹介した。実践に際しては臨床の知に代表されるような人文科学の知見や手法が有用であった。

キーワード: ウィリアム・オスラー 卒後臨床研修 臨床の知

原 著
2014年度の診療報酬改定が当院における胃瘻造設にもたらした影響について
 -胃瘻造設後の経口摂取可能率の変化ー
梶原 祐策
【要旨】
当院は2014年度の診療報酬改定に伴い積極的に嚥下機能評価を導入しており,「食べる」ための胃瘻が増えたかどうか調べるために後向き研究を行った.対象は2012年度から2015年度の4年間に当院で経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)を行った症例のうち,通過障害を呈する頭頸部癌の6例を除く385例である.改定前後の2年間ずつに分けてPEG後経口摂取可能例[経管栄養離脱例および経口摂取併用例]の割合を比較したところ,7.5%(16/214)から16.4%(28/171)へと有意に上昇していた(p <0.01).嚥下機能評価によって経口摂取可能例の拾い上げが増えたことや緩和ケア目的以外の経口摂取不能例に対するPEGが差し控えられるようになった可能性,主原因に廃用症候群の占める割合が10.3%(22/214)から18.1%(31/171)へと有意に上昇した(p <0.05)ことなどが理由として考えられた.

キーワード: 診療報酬改定 経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG) 経口摂取可能率


10MV X-Rayにおけるminiphantomの外径によるコリメータ散乱係数の変化 中野渡優志
奈良 鉄造
高木 雅文
真里谷 靖
【要旨】
放射線治療計画での線量計算は複雑化している。小照射野はその中でも重要な対象のひとつである。本研究では,線量計算のパラメータであるコリメータ散乱係数(Sc)に及ぼす照射野サイズとminiphantom(MP)の外径の組み合わせによる影響を検討することを目的とした。直線加速器を用い,X線エネルギー10MVで400 MUを照射し,線源検出器間距離は1,000 mmにて一定とした。正方形照射野の辺を8~100 mmの11段階,MPの外径は10~40 mmの4段階とし,各々の組み合わせによるScを測定した。結果として,MPの外径より照射野サイズが小さい場合に測定されたScは減少傾向を示すことが分かった。その原因としては照射野内にMP全体が含まれるか否か,さらに各々の場合の2次電子発生量の違いが重要であることが示唆された。

キーワード: コリメータ散乱係数 小照射野 電子平衡
  
短 報
生命維持装置を装着した患者の転院搬送における地域連携部の役割について 奥川 満彦
奥崎 幸子
麻里 美紀
小島万央佳
甲田久美子
【要旨】
地域連携部は、県内外合わせて年間4,000件余りの病病連携、病診連携窓口となっており、そのうちドクターヘリや高規格救急車での転院搬送は80件となっている。今回、生命維持装置など多くの機器を装備してヘリ搬送となった事例を報告した。本例では、連携部が調整役となり搬送時を想定してのシミュレーションや情報共有をしたことがスムーズな転院搬送につながったと考えられた。

キーワード: 生命維持装置 転院搬送 地域連携


むつ・下北地域看護と介護の連携作り委員会活動報告
 ~橋渡し窓口ネットワーク作りに焦点をあてて~
甲田久美子
【要旨】
国は、2025年に向けて在宅療養を推進している。2003年から「むつ・下北地域看護と介護の連携作り委員会」を発足し、顔と顔の見えるネットワーク窓口が66箇所構築された。この活動を通じて、医療機関から地域への移行時にシームレスな対応が出来るように問題解決や専門的知識の提供を実施した。
今後も当院の看護職がリーダーとなり地域へ積極的に情報発信していくことが必要。

キーワード: シームレス ネットワーク 顔と顔の見える関係


予防的視点を持った訪問看護へのアプローチのために取り組むべき事項の検討 二本柳 舞
【要旨】
在宅医療の推進が課題となる中、在宅療養者が、褥瘡発生や全身状態悪化により入院する事例は後を絶たない。予防的視点を持った訪問看護のアプローチのために、介護支援専門員への働きかけが必要ではないかと考え、訪問看護ステーションスタッフ20名に質問紙調査を行った。調査結果では、「医療機関の看護職」が100%、「医療機関の医師」、「介護支援専門員」が共に92%、「地域住民」83%の割合で、訪問看護の役割や専門性をPRする必要があると回答し、PR方法は「スーパーやタクシー等に広告掲示」、「患者・家族からの口コミ」、「地域の様々なイベントで」、「多職種の研修会に参加してPR」などが挙げられた。今回の調査で、介護支援専門員に特化した働きかけが必要と判断するまでに至らなかった。予防的視点を持ち早期に介入するためには、介護支援専門員に限らず、医師や看護師、地域住民全体にも訪問看護の役割について理解を得られるように訪問看護師自身もPRしていく必要がある。

キーワード: 訪問看護の早期介入 予防的視点 訪問看護のPR
 
業務報告
平成27年度看護局実績報告 白濱 里美
【要旨】
看護局では、目標管理を実践している。目標設定が定性目標になりがちで、評価に困ることが課題だった。そこで、2015年度から、バランストスコアカード(BSC)をツールとして導入した。その結果、目標が定量化され評価が明確になった。

キーワード: 目標管理 SWOT分析 BSC 定量目標


当院における臨床工学科の役割 福島 幸子
熊谷 幸恵
佐々木沙織
【要旨】
平成27年度の臨床工学科の業務統計について報告した。機器管理業務では、ポンプ類の点検など変動なく推移していた。循環器業務も大きな変動はなく推移していた。血液浄化業務に関しては、血液透析以外の治療依頼が増加傾向にあった。

キーワード: 臨床工学科 機器管理 血液浄化


中央放射線科におけるモダリティ別業務状況 山上 博文
村木 雅史
久保田光昭
米沼 貴之
川村 一次
米田 竜三
武尾 一範
濱田 浩平
木村 猛
神 圭介
木村 都
竹林 芽依
荒木 敬介
二本柳亮太
真里谷 靖
【要旨】
むつ総合病院中央放射線科における,モダリティ別の業務状況を検討・報告した。今回の結果をもとに,今後の業務の効率化と改善を行い,当科のみならず病院全体のレベルアップと収益向上に寄与すべく努力して行きたいと考えている。
 
 
 
 
 
 
キーワード: モダリティ 業務状況 放射線診断 放射線治療


平成27年度薬剤科活動実績報告書 西川虞佐人
高橋 千鶴
藤沢希世子
【要旨】
我々は、人員不足ながら病院薬剤師として行うべき業務内容を拡大するため、手順の見直しや削減に努め、患者に対して適切かつ安全な薬物療法が行えるよう業務に取り組んでいる。なかでも、化学療法調製では手順の見直しやお薬手帳へのシール(注射剤)の貼付、病棟業務では服薬指導件数の増加、その他チーム医療への参画などに積極的に取り組んできた。今回我々は、これらを中心とした平成27年度の活動実績とその自己評価について報告した。

キーワード: 薬剤管理指導 化学療法 持参薬


栄養管理科平成27年度業績報告 澤田あゆみ
八戸 希
鈴木 冴子
高野 郁子
北上 洋子
西井 望
松本 華子
【要旨】
管理栄養士・栄養士は、食事も治療の一環であることを熟知し栄養・食事の専門家として日常業務にあたっている。我々の業務は大きく給食管理と栄養管理に分類されるが、今回、栄養管理科の業務内容を説明すると共に、昨年度の業務実績について給食管理からは食数、栄養管理からは栄養指導件数を中心に解析し、報告した。解析の結果得られた今後の課題としては、様々な原因による栄養障害の患者さんにいち早く介入することが挙げられた。

キーワード: 入院時食事療養費 栄養食事指導 栄養障害


リハビリテーション科概要と27年度業務実績および臨床指標について 相馬 光明
【要旨】
リハビリテーション科における平成27年度の主な業務実績および臨床指標について報告した。入院患者延べ実施件数は、過去最も多かった同26年度からほぼ横ばい、外来患者延べ実施件数もほぼ横ばい状態で推移した。一方、同27年度より本格稼働したがんリハビリテーションは着実に件数を伸ばしている。依頼診療科別では、内科、循環器科、外科、泌尿器科が過去最も多い年であった。機能的自立度評価法とバーセル・インデックスについては、比較的高い数値で推移しているが、在院日数等の影響などに関してはさらに精査が必要である。連携施設が少ない下北圏域では、急性期病院から自宅へ帰すというルートの構築をさらに進める必要がある。

キーワード: 施設基準 機能的自立度評価 日常生活自立度 自宅復帰 連携パス


平成27年度中央検査科業務実績 成田 房恵
【要旨】
むつ総合病院中央検査科 平成27年度業務実績を件数で表示した。中央検査科の理念 「常に、患者さんの立場に立った満足度の高い医療に努め、正確なデ-タを迅速に提供できるように、新しい技術・知識の習得に努力する」 に則り、日々業務に取り組んでいる。また、チ-ム医療の一員として臨床支援に取り組んでいる。

キーワード:業務実績 24時間体制 臨床支援



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