Language:日本語 / English
2019年 vol.19 Issue 2
巻頭言
原点回帰
石原佳奈
 


原 著
経皮内視鏡的胃瘻造設術後に投与を再開する栄養剤としての半固形状流動食の有用性 梶原祐策
【要旨】
背景:事前の経腸栄養で問題がなくとも,経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)後に栄養剤の投与を再開すると消化器症状(嘔吐・下痢)が少なからず生じる.他の栄養剤より生理的な半固形状流動食の有用性を調べるために本研究を行った.
方法:2011年8月1日~2019年3月31日の間,主治医としてPEGを行った91例を対象に後方視的に解析した.全症例で術前の経腸栄養は問題なく行われていた.術後に投与を再開した栄養剤によって半固形状流動食群20例,半消化態栄養剤群26例,成分栄養剤群45例の3群に分類し,栄養剤投与再開後1週間以内の消化器症状発現率を比較した.
結果:消化器症状発現率は半固形状流動食群で0%と,半消化態栄養剤群の26.9%に比べて有意に低く (p<0.05),成分栄養剤群の2.2%と同等であった(p=1).
結論:術前の経腸栄養で問題がなければ,半固形状流動食は成分栄養剤と同様に有用であった.


キーワード:半固形状流動食,経皮内視鏡的胃瘻造設術,嘔吐,下痢

下北医療圏における緊急心臓カテーテル検査の現状と地理的影響
山村菜美
米沼順子
中島有里
高松みどり
石田裕美
加藤武
【要旨】
むつ総合病院(以下当院)では、毎年50~60件の緊急心臓カテーテル検査を実施しているが、急性冠症候群(Acute Coronary Syndrome, 以下 ACS)を発症した場所から当院までの距離の違いによって心筋障害に差があるのか、2018年にACSを発症し、緊急心臓カテーテル検査で治療を行った患者を対象に、心筋マーカーのCK(クレアチンキナーゼ)・ CK-MB(クレアチンキナーゼ MB型)・TnT(トロポニンT)の数値を用い比較した結果、当院までの距離が遠いほど心筋マーカーは高値を示し、 距離が近い患者より強い心筋障害があると考えられた。


キーワード:心臓カテーテル検査、急性冠症候群、心筋マーカー

外来待ち時間短縮と患者満足度向上への取り組み
待ち時間対策プロジェクトチームの活動報告
甲田久美子
加藤美香子
杉山由美子
三浦香奈子
吉内栄光
澁田剛
柳谷孝志
菊池たき子
二本柳明花
高橋康強
【要旨】
むつ総合病院(以下、当院)では、外来待ち時間が長年の課題となっていた。2017年2月に、待ち時間プロジェクトチーム(以下、 PT)が発足され多職種で検討し、外来診察進捗の情報提供のためのデジタルサイネージや待ち時間の負担軽減のための待合カフェの設置、予約診療など来院時間のご案内など多方面から対策を講じた。その結果、2019年10月の待ち時間(受付から会計終了までの時間とする)の全体平均は、2時間37分と21分間短縮され、内科では3時間04分 で54分間の短縮となった。また、外来患者満足度調査結果からは、待ち時間に関する項目の評価点数が上がっていた。今後も下北圏域の特徴も鑑みながら、圏域唯一の総合病院として患者満足度の向上と待ち時間短縮にむけて取り組んでいきたい。


キーワード:待ち時間短縮、満足度向上、待ち時間プロジェクトチーム、多職種連携

夜間・休日の超緊急帝王切開術におけるシミュレーションとその成果
齋藤志乃
【要旨】
A病院では、2015年以降、夜間・休日の超緊急帝王切開術の体制確立に向け、A病院の現状に合わせたマニュアル整備とシミュレーションの実施してきた。継続的に行ってきた超緊急帝王切開術シミュレーションが、A病院の体制作りに有効であったかを検証した。その結果、産科病棟スタッフが主体となる麻酔開始体制を構築したことで、手術開始から児娩出までの時間短縮が可能となったことが分かった。A病院での超緊急帝王切開術シミュレーションは、多職種連携意識の向上に繋がり、振り返りを行うことで課題が明確化され、新たな体制構築が可能となった。


キーワード:超緊急帝王切開術、シミュレーション、多職種連携

短 報
内視鏡感染管理における内視鏡定期培養検査による
洗浄・消毒・保管の評価
棟方祐子
中村由美子
川口悠美子
菊池美子
室舘 望
眞野志生子
【要旨】
A病院では2017年度から日本消化器内視鏡技師会内視鏡安全管理委員会編「内視鏡定期培養 検査プロトコール」(以下プロトコール)を活用し、消化器軟性内視鏡(上部、下部、十二指腸用)の外表面、吸引管路、送気管路、送水管路、特殊管路、鉗子ボタンなどの付属品と保管庫の定期培養検査を年1回実施している。 その結果、内視鏡定期培養検査は内視鏡の洗浄・消毒・保管が確実に行われているかを確認する手段として非常に有効であり、実施・継続するべきであると考える。


キーワード:消化器軟性内視鏡 内視鏡定期培養検査 内視鏡洗浄 内視鏡消毒、保管

業務報告
むつ総合病院中央放射線科におけるモダリテイ別業務状況・第4報
山上博文
久保田光昭
坂本大輔
真里谷靖
【抄録】
むつ総合病院中央放射線科における,モダリテイ別の業務状況を検討・報告した。第1報~第3報まで,定時的に報告してきた。今回,第4報として,各モダリテイ件数の推移を調査し,さらなる業務の効率化を図り,病院の健全な経営に参画できないかを検証した。


キーワード:研究報告、活動報告、放射線診断、放射線治療

むつ総合病院と大間病院との緊急時の血液製剤連携構築とその効果
斉藤仁
伊藤あずさ
玉井敬佑
越膳武志
柳谷孝志
【要旨】
本州最北端の大間町に位置する一部事務組合下北医療センター国民健康保険大間病院は隣接する風間浦村と佐井村を含めた地区の地域包括医療を担う医療機関である。また、近隣の入院医療機関である一部事務組合下北医療センターむつ総合病院までの距離は40Kmを超えるため救急医療に対しても多くを求められている。平成30年5月、大間病院より緊急に血液製剤を必要とした場合、むつ総合病院から大間病院に血液製剤を搬送する体制を要望する提案があった。ここで血液製剤の供給体制構築と、それによる廃棄血削減の効果を報告する。


キーワード:血液製剤連携、廃棄血削減

当科における透析中の運動療法の導入と検証
佐藤昂
【要旨】
血液透析中は安静を余儀なくされるため、透析が長期に及ぶことで、透析患者は筋力や運動耐容能、活動量の低下、QOLの低下を認めていた。近年、透析中の運動療法が身体機能の改善をもたらすとして多くの報告がなされている。そこで当科においても、外来透析患者を対象に透析中の運動療法を導入した。運動開始時と、3 ヵ月後、6ヵ月後の身体機能を比較した。また運動療法に関するアンケート調査も実施した。その結果、身体機能は維持、改善傾向にあった。アンケート結果からは、運動療法に対する肯定的な意見が多く聞かれ、対象患者全員が運動の継続を希望していた。今後も定期的な評価を行い、運動継続のモチベーション維持に努めたい。また今回の導入がQOLの改善にも寄与することを期待し、介入を続けていきたい。


キーワード:血液浄化血液透析,運動療法,SPPB (Short Physical Perf ormance Battery)

2018年度 薬剤科業務報告書
矢田康司
高野篤史
【要旨】
当院は2016年4月からDPC制度を導入し、薬剤科では後発医薬品への切り替えを推進することで病院収益に貢献してきた。しかし2018年4月から後発医薬品使用体制加算の計算方法が変わり、後発医薬品切り替えをさらに進めていく必要に迫られた。これらを含めた2018年度の活動実績とその評価について報告する。


キーワード:DPC、後発医薬品

栄養管理科 平成30年度業績報告
澤田あゆみ
八戸希
阿部夏希
中村美月
西井望
松本華子
【要旨】
平成30年度の入院食事療養費は昨年度に比べると食数はやや増加していた。咀嚼・嚥下に何らかの問題がある方の入院が増え、非加算の特別食の割合が増えているのが特徴だった。食事形態の検討と調理のマンパワー不足が課題である。食事指導件数は横ばい傾向にあるが、継続を積極的にアプローチしていくことが課題である


キーワード:入院時食事療養費(Ⅰ) 、栄養食事指導

当院における臨床工学科の役割
石川禎香
福島幸子
熊谷幸恵
佐々木沙織
阿部一晃
杉山真実
霜野朱里
【要旨】
2018年度の臨床工学科の業務統計について報告した。
臨床工学科では、主に機器管理業務、循環器業務、血液浄化業務を行っている。
機器管理業務では、フットポンプと生体情報モニターの点検依頼が増加傾向にある。
その他の業務の件数は減少傾向にあった。循環器業務は、心臓カテーテル業務が増加傾向にあった。血液浄化業務に関しては、透析装置増床に伴い増加が続いている、血液透析以外の治療依頼は減少傾向にあった。


キーワード:臨床工学科、機器管理、血液浄化

平成30年度看護局目標管理結果報告と目標管理に関する一考察
甲田久美子
山崎ふじ子
杉山聖子
白濱里美
加藤美香子
【要旨】
むつ総合病院看護局では平成19年度から「目標管理」を実施している。 人員が十分でない中、目標面接等の時間確保が難しい一方、職員ひとりひとりの役割分担を意識づけるためには必要である。平成30年度の戦略テーマ1「チーム力の強化」については、ほぼ期待通りの成果であり、戦略テー マ2「退院支援の強化」については、目標を下回る成果だった。また、戦略テーマ3「相手を思いやる対応」については、期待通りの成果だった。
今後も、看護局の人材育成と看護の質向上、さらには病院経営参画のために、目標管理計画表に沿ってできる限り継続していきたい。


キーワード:目標管理、人材育成、目標面接

話題
去勢抵抗性前立腺癌多発性骨転移に対する外照射併用Ra-223内用療法の治療成績
真里谷靖




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